研究実績の概要 |
27年度第1四半期は、現地の研究者や関係機関に協力を仰ぎ、本研究を遂行する上で必要な準備をおこなった。27年度第2四半期は、ミクロネシア連邦ヤップ州においてトウガラシ属の民族植物学的な調査をおこなった。トウガラシ、キダチトウガラシ、Capsicum chinenseの3種が栽培・利用されていた。3種のうち、キダチトウガラシは「Yapese」、「native」、「local」などと呼ばれ、重要視されていることが明らかとなった。キダチトウガラシは島内で自生しており、特定の鳥により種子が散布されていることがわかった。トウガラシ属の果実は、香辛料としてだけではなく頭痛薬などの薬にも用いられており、葉は野菜として利用されていた。27年度第3四半期は、インドネシア共和国マルク州においてトウガラシ属の民族植物学的な調査をおこなった。現在データを解析中である。また、International Society for Southeast Asian Agricultural Sciences (ISSAAS) 2015において「Preliminary survey on usage of Capsicum spp. on the Yap Islands, Yap State, the Federated States of Micronesia」を、またThe Third East Asian Island and Ocean Forumにおいて「Chili peppers in Indonesia: Its diversity and distribution」を発表した。27年度第4四半期は、The Journal of Island Studiesに「Distribution and cultivation practices of Capsicum pubescens on the islands of Java, Sumatra, and Sulawesi, Indonesia」という論文が掲載された。また、これまでの業績が認められ、「アジア・オセアニアにおけるトウガラシ属の民族植物学的研究」で日本熱帯農業学会の奨励賞を受賞した。
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