研究課題/領域番号 |
15K16585
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
山本 宗立 鹿児島大学, 国際島嶼教育研究センター, 准教授 (20528989)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | トウガラシ属 / 民族植物学 / 地域研究 / ミクロネシア / インドネシア / キダチトウガラシ / 植物利用 / 酒文化 |
研究実績の概要 |
平成28年度第1四半期は、まず民族自然誌研究会第82回例会「アジアの発酵文化の広がり」を主催し、アジア・オセアニアにおけるトウガラシ属と酒文化の関わりが、アジアの発酵文化の中でどのような位置付けにあるのかを明らかにした。次に、12th International Small Islands Cultures Conference (ISIC 12)において、日本の南西諸島と東南アジア・オセアニアの島嶼部における唐辛子利用を比較・類型化を行った研究成果「Use of chili peppers in the Nansei Islands」を発表した。平成28年度第2四半期は、アジア・オセアニアにおけるトウガラシ属と酒文化を島嶼部・大陸部で比較した論考が英文一般書『Ethnic Fermented Foods and Alcoholic Beverages of Asia』(Tamang, J. P. ed.、Springer India)に掲載された。また、ミクロネシアにおいてトウガラシ属の民族植物学的な調査を行った。平成28年度第3四半期は、昨年度の調査結果である「インドネシア・マルク州におけるトウガラシ属の利用」を日本熱帯農業学会第120回講演会において発表した。また、第一回島嶼産業研究会においてアジア・オセアニアの島嶼部の唐辛子製品に関する考察「唐辛子の特産品としての可能性」を発表した。さらに、これまでの成果を評価されて、The 1st International Seminar of Agroforestryの基調講演に招待された。平成28年度第4四半期は、これまでに調査を行っていないインドネシア共和国マルク州の島々においてトウガラシ属の民族植物学的な調査を行った。今年度に得られたデータについては、学会の発表や国際誌の論文として来年度公表する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り現地調査が進んでいる。また国内外における学会発表、および英文一般書に論考が掲載されており、おおむね順調に進展しているといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続きトウガラシ属の遺伝・文化資源に関する文献調査・情報収集を行う。また、ミクロネシアやインドネシアにおいてトウガラシ属の民族植物学的な調査を行う。調査項目は、トウガラシ属の呼称、食文化(香辛料、果実以外の利用の有無、系統による味・辛味・嗜好性の違いなど)、酒文化、薬用、儀礼、禁忌、麹のつくり方などとする。研究成果を国内外の学会において随時発表するとともに、論文を執筆する。最終年度であるため、東南アジア島嶼部およびミクロネシアにおけるトウガラシ属の文化資源を比較・類型化し、一般書などとして研究成果を社会に還元できるよう努める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度にかかる予定の印刷費等を確保するため。
|
次年度使用額の使用計画 |
論文等の印刷費として使用する。
|