インドネシア・マルク州およびミクロネシア連邦には、基本的にトウガラシとキダチトウガラシのみが分布し、インドネシアのジャワ島・スマトラ島・スラウェシ島で栽培・利用されているロコト類およびハバネロ類は分布しないことが明らかとなった。この結果は、トウガラシ属植物のアジアへの伝播を考える上で、非常に有益な情報となりうる。ミクロネシア連邦では、果実が関節痛・眼病・駆虫・下痢・歯痛・頭痛・鼻水に、種子が歯痛に、葉が眼病・傷口・止血・耳垂れに、花が難産に、根が傷口に利用されており、トウガラシ属植物の様々な部位が薬として用いられている点が、日本のトウガラシ属植物の薬用例と大きく異なることが明らかとなった。
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