研究課題/領域番号 |
15K16590
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研究機関 | 総合地球環境学研究所 |
研究代表者 |
内藤 大輔 総合地球環境学研究所, 研究部, プロジェクト研究員 (30616016)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 森林認証制度 / 先住民族の慣習的権利 / FSC / FPIC / 紛争解決メカニズム / REDD+ |
研究実績の概要 |
今年度は、森林管理協議会(FSC) の理事会の諮問機関である、先住民族常設委員会へオブザーバー参加し、FSCにおける先住民族に関わる課題について聞き取り調査を行った。先住民族常設委員会は、より確かな先住民族の権利の保障を目指した事務局機能の強化や先住民族の管理する森林の認定、より強制力のあるFPICの実施を目指している事が明らかとなった。 現在、FSC第5版の国内基準の策定プロセスが進められているが、そのなかで、新国内基準の北海道で実施フィールドテストが行われ参加し、先住民族の慣習権の保障について利害関係者への聞き取り調査を行った。慣習権の保障につながる取り組みを行う上で、まず対象となる先住民族の人々を特定することの難しさ、またどのようにFPICを得るかについての見解が分かれており、実施にむけて数多くの課題があることが明らかとなった。 北海道のアイヌの方々とともに、北海道におけるFPICガイドライン素案づくりに専門家として参加した。意思決定手続き、紛争解決メカニズムなどに大きな課題があることが明らかになった。 インドネシアにおけるREDD+実施の背景にはノルウェーによる巨額の資金提供があるが、REDD+庁の廃止によって、現在泥炭復興庁へと移行しつつあることが分かった。インドネシアの調査許可の更新をおこない、今年度、来年度の現地調査継続のための手続きを整えた。成果発表の一環で、IUFRO地域大会にて、アジアの木材の合法性に関わるパネルを企画し、マレーシアの合法性、認証制度について発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
森林管理協議会(FSC)の先住民族常設委員会に参加するという貴重な機会を得れることができたことは、グローバルな先住民族の慣習的権利の保障にむけた展開を理解する上で、重要な研究機会となった。またFSC国内基準策定プロセスに実際に参加することで、基準策定プロセスと、フィールドでの実施における基準と現場の相違を認識できたことも大きかった。とくにFSC新基準ではFPICが大きな特徴の一つであるが、実際の導入には依然として課題が大きいことが分かったことも、今後の研究の方向性を示唆することとなった。
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今後の研究の推進方策 |
2017年は森林管理協議会(FSC)の3年に1度開催される総会がカナダ・モントリオールで10月に計画されており、それに参加し、FSCの運営に関わるさまざまな動議について分析を行う。また先住民族常設委員会の動きをフォローしながら、新基準、FPICガイドラインの行方を探る。リスクアセスメントや94年以降の植林を認めないとする条項をめぐる利害関係者の動きも探る。REDD+についてはSBSTAやCOPでの議論をフォローするとともに、インドネシアにおけるREDD+実施サイトでの社会調査を実施する。学会発表、論文執筆、単著執筆を進める。
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