本研究では、現代中国における郷鎮長は村長を代理人として認識すること、郷鎮政府は実績の良い村長に対し昇進に代わる経済的な奨励を与えること、村で自治制度が定着することにより、村長が郷鎮政府の要求より村の利益を重視すること、非協力的な村長を排除するため、郷鎮政府は積極的に村の選挙に関与すること等が指摘できた。これは、政府間に存在するプリンシパル=エージェント関係が行政の末端ではどのような特徴を持つのかを捉えたものであり、政府間関係の議論に大きく貢献できた。さらに、権威主義体制下における村民自治の存在意義を再度問い直すことで、中国の政治体制変容について新たな議論を巻き起こすことが期待できる。
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