研究課題/領域番号 |
15K16592
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
長田 華子 茨城大学, 人文学部, 准教授 (20632285)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 日本 / 縫製産業 / 低価格 / 高品質 / 技術 / 女性 / 岩手県 / バングラデシュ |
研究実績の概要 |
当該年度は2年目に当たり、研究計画に示した通り、以下の3点について研究を行った。 第1に、日本において低価格・高品質が需要される背景についての考察、日本企業の高品質、熟練化の議論の精緻化である。この2点については、初年度に十分な考察が出来なかったため、引き続き実施した。 第2に、昨年度(2016年2月と3月、それぞれ1週間程度)実施した岩手県(二戸市、久慈市)での2度の調査の記録および、インタビュー内容を整理した。特に、岩手県の二戸市、久慈市になぜ他地域と比べて、縫製産業の集積がみられるのか、その歴史的過程を当時を知る関係者(服飾専門学校教諭、企業関係者など)へのインタビュー調査を実施しており、その詳細なインタビューの記録を書き起こす作業を行った。またそのインタビュー調査から得られた結果をもとに、岩手県の繊維産業の研究史を講読しながら、論文としてどのようにまとめることが出来るか、検討した。論文を学会誌に投稿することについては次年度の課題である。 第3に、2016年7月1日にバングラデシュの首都ダッカで人質テロ事件が起こり、それ以降外務省では、バングラデシュに対する危険レベルの引き上げがなされた(「レベル2:不要不急の渡航はやめてください」)。そのためバングラデシュでの調査を延期せざるを得なくなり、出張先をイギリス・ロンドンに変更した。イギリスでは、ロンドン大学経済政治学院(LSE)での資料収集に時間を割いた。特に、バングラデシュの縫製産業の歴史過程に関する資料を収集した。また同学院(LSE)の南アジアセンターでは所長のDr. Mukulika Banerjee氏他と本科研の研究内容についての意見交換を行った。次年度には、今回のイギリスでの文献調査で得られた知見を論文としてまとめる計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要にも記述したように、2016年7月にバングラデシュの首都ダッカで人質テロ事件が起こり、以降テロの危険性が高まっているとして、不要不急の渡航をやめるよう外務省から指示があった。そのため、急遽当該年度に予定していたバングラデシュでの調査を延期せざるを得なくなった。その点で、現時点までの進捗状況は「やや遅れている」を選択した。今後もバングラデシュの治安状況を見ながら、調査の計画を検討する。上述の点を除けば、計画通りにおおむね進んでいると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は最終年度に当たる。これまでの研究を論文としてまとめる作業を行いたいと考えている。特に、これまで実施してきた岩手県での調査から得られたことを論文としてまとめるとともに、最終年度にも岩手県での調査を遂行したいと考えている。特に、「低価格・高品質の競争力」の源泉がどこにあるのか、現地調査によって明らかにし、論文を執筆したい。バングラデシュ調査に関しては、治安状況を見ながら、今後検討していく。たとえ、今後もバングラデシュの治安状況に変化が見られないとしても、岩手調査で十分な研究成果が上げられれば、本科研の研究成果として、一定の結果を提示できると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
バングラデシュでの人質テロ事件発生以降、同国の治安状況が悪化したため、調査を延期したことが最大の理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、岩手県での調査を2回予定しており、またバングラデシュでの調査を引き続き、計画している。次年度への繰越額については、この2地域での調査旅費として計上する計画である。
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