研究課題/領域番号 |
15K16597
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
永瀬 節治 和歌山大学, 観光学部, 准教授 (10593452)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 世界遺産 / 観光マネジメント / 観光行動 / 歴史的集落 |
研究実績の概要 |
初年度は、第一に、文化遺産を対象とした観光マネジメントに関わる概念として「観光地経営」「観光まちづくり」「文化資源マネジメント」「観光活動設計」の4つを取り上げて、それらの共通点・相違点を整理しながら、本研究の主題である「生活・生業系文化遺産」のマネジメントに相応しい枠組みのあり方を検討した。 第二に、本研究の主対象地である南砺市五箇山地域において、合掌造りを活用した観光振興が本格化する1950年代から世界遺産登録後の現在に至るまでの間に策定された観光関連計画を、「総合計画」「保全系計画」「観光系計画」の3種類に大別して計画資料を収集し、それらの内容の変遷について経年的な分析を試みた。その暫定結果については2015年度日本建築学会大会(オーガナイズドセッション)において報告を行っており、その確定版についても論文投稿に向けた準備を進めている。 第三に、五箇山地域における現在の観光行動の実態を把握するため、2015年5月2・3日に相倉集落、同年8月8・9日に菅沼集落において、観光客へのアンケート調査と通行量調査を行った。合掌造り集落での滞在内容や、五箇山地域内外の観光地への立ち寄り、宿泊等の実態について把握し、その結果の一部については、2015年10月に行われた「白川郷・五箇山の合掌造り集落」世界遺産登録20周年記念パネル展と記念フォーラムにおいて報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は研究遂行に際しての対象地の状況の見極め・条件整理を行いながら、主対象地域である南砺市五箇山地域における調査を中心に進めた。観光マネジメントに関する実証実験(社会実験)については、地域の条件が整わなかったため今年度の実施は見送ったが、観光客を対象としたアンケート調査等を実施することができ、一定の実態を把握することができた。比較対象地域の社会条件や関連施策の動向については、当該地域の妥当性も含めて精査の途上であるが、2016年度中に整理の目処がつくものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度以降は、比較対象地域(石見銀山(島根)、熊野・高野山(和歌山)を予定)における社会条件の整理を進めるとともに、文化遺産保全と観光マネジメントに関する計画・施策等の把握整理を行う。 五箇山(及び白川郷)地域においては、昨年度の調査で明らかになった通過型観光客が多くを占める現状を踏まえ、世界遺産集落以外の周辺地域における観光資源・インフラや社会組織等の実態把握を進め、滞在型観光を実現するための条件について検討を進める。また地域の協力組織との協議により、観光マネジメントの実証実験に向けた準備を進め、実施時期や内容を確定させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度の実地調査は五箇山地域のみ行ったため、その他の比較対象地域への旅費として想定していた支出が削減されている。また物品費についても、当初購入を予定していた物品について、既存の代替備品の活用を含めて見直しを行った結果、予定額より削減されている。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は、物品費については関連文献・資料の購入やデータ整理費用として60千円、和歌山を起点とした調査旅費として、五箇山・白川(2泊3日×5人×2回)440千円、熊野・高野山(1泊2日×4人×3回)190千円、石見銀山(2泊3日×2人×1回)100千円の計730千円、資料収集・整理等を行う学生への謝金(5人×20日)として50千円、論文投稿費として50千円、その他印刷・複写費として6千円をそれぞれ計上し、前年度の残額196千円と平成28年度の申請額700千円をあわせた計896千円を使用する計画である。
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