本研究は、生活や生業と結びついた文化遺産を擁する国内の人口希薄地域を対象に、「量(観光客数)」「行動空間」「活動(観光体験)」「受け入れ体制」の4つの視点に基づく観光マネジメントの枠組みと実践手法について考究した。国内の生活・生業に関わる世界文化遺産に対し導入されている観光マネジメント施策を抽出し、上記枠組みのもとで把握するとともに、五箇山(富山県南砺市)における和紙を活用した観光の成立過程と実態、和歌山市雑賀崎地区における漁村の生活文化資源を活用した観光客受け入れの実践手法、和歌山県広川町における防災遺産を対象とした観光マネジメント手法としての日本遺産関連施策の位置づけを明らかにした。
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