研究実績の概要 |
平成27年度は、当初計画通り、形態学という観点からウィトゲンシュタイン哲学を解明するための文献の収集と読解に努めた。 まず、ゲーテの形態学の内実や、ショーペンハウアー、シュペングラーらへと継承されていく形態学的方法論の特徴について整理と検討を行ったほか、ウィトゲンシュタインが彼らから何を継承し、また、何を批判したかについて、ウィトゲンシュタインの遺稿全体を対象としつつ研究を進めた。 また、同時に、ゲーテの影響を深く受け、いわゆる「世紀末ウィーン」を代表する論客の一人として影響力をもったカール・クラウスの言語論についても検討を行い、ウィトゲンシュタインの形態学的探究との親近性についても研究を進めた。 それから、ウィトゲンシュタイン哲学自体に関する内在的研究においても、主として彼の遺稿Last Writings on the Philosophy of Psychology, Vol.I, edited by G.H. von Wright and H. Nyman, Basil Blackwell, 1982. および、Last Writings on the Philosophy of Psychology, Vol.II, The Inner and the Outer, edited by G.H. von Wright and H. Nyman, Blackwell, 1992.の読解を通じて、本研究にかかわる重要な知見を得た。 上記の研究成果の一部については、すでに2016年1月18日に、新潟大学・間主観的感性論研究推進センター・公開研究会において、「形態学としてのウィトゲンシュタイン哲学: ゲーテとの比較において」という題目で発表を行った。
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