研究実績の概要 |
平成28年度は、前年度からの研究を継続しつつ、その成果の一部を公開した。 まず、ウィトゲンシュタインの遺稿Last Writings on the Philosophy of Psychology, Vol.I, edited by G.H. von Wright and H. Nyman, Basil Blackwell, 1982. および、Last Writings on the Philosophy of Psychology, Vol.II, The Inner and the Outer, edited by G.H. von Wright and H. Nyman, Blackwell, 1992.の研究を下に、両遺稿の邦訳『ラスト・ライティングス』(講談社、2016年)を刊行したほか、同研究の成果を取り入れた論文「半透明な心――他者とともにあることの悲劇、あるいは救いをめぐって」を『atプラス』31号(太田出版、2017年)に寄稿した。 また、 論文「形態学としてのウィトゲンシュタイン――ゲーテとの比較において」を著したほか、同論文を収録した論集『これからのウィトゲンシュタイン――刷新と応用のための14篇』(荒畑靖宏・山田圭一・古田徹也編著、リベルタス出版、2016年)を編み、独特な形態学としてウィトゲンシュタイン哲学を解釈する視座を含めたウィトゲンシュタイン研究の新たな方向性を提示した。 さらに、2016年12月17、18日の二日間、公開シンポジウム「これからのウィトゲンシュタイン――刷新と応用」を慶應義塾大学日吉キャンパスにて主催し、研究者間の幅広い交流と国民への発信の場を設けた。
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