本研究はライプニッツの身分制的連邦国家論を分析するにあたり、そこに見出される「(ヨーロッパの)一」と「(諸国家の)多」との関係に着目した。従来の解釈では、ライプニッツの身分制的連邦国家論において「一」と「多」の関係を規定しているのはもっぱら「勢力均衡」の原理とされてきた。しかし、本研究は、それだけではなく、ライプニッツの議論におけるまさに「身分制」的な側面も重視する。「勢力均衡」という新しい原理だけではなく、伝統的な「身分制」を部分的に保持することによって、ライプニッツは独特な仕方で「一」と「多」の釣り合いを提示することができたのである。
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