ブータンにおけるニンマ派展開の最初期を代表する3人の人物、ロンチェンパ(1308-1363)、ドルジェリンパ(1346-1405)、ペマリンパ(1450-1521)に焦点を絞った上で、文献学的方法論によって、彼らがどのような思想を抱いていたかを解明し、これまで謎に包まれていたブータンにおけるニンマ派仏教の初期の様相が明らかになった。とりわけ、ドルジェリンパの代表的埋蔵宝典が、ロンチェンパの思想的源泉の1つとなった『カンド・ニンティク』に大きな影響を受けていたのを突き止めたことは大きな成果である。
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