研究課題/領域番号 |
15K16627
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研究機関 | 鹿児島工業高等専門学校 |
研究代表者 |
町 泰樹 鹿児島工業高等専門学校, 一般教育科, 講師 (30725693)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 神社 / 奄美 / 伝承 / 民俗信仰 |
研究実績の概要 |
平成28年度に実施した研究としては、①奄美群島の伝承に基づいて創建された神社(以下、伝承創建神社)について、各郷土史における記述を整理したこと、②旧笠利町・旧名瀬市(両者とも、現奄美市)、龍郷町、大和村における神社の巡検、③与論島の伝承創建社である安司根津栄(アジニッチェー)神社の神職からファミリーヒストリー調査がある。 ①については、当初予定していた奄美北部(旧笠利町・旧名瀬市・龍郷町)の郷土誌における伝承創建社の資料整理が大方終了している。資料整理の過程で、伝承創建社以外の神社に関する記述にも目を通し、それによって、奄美北部の神社の概要を把握することができた。 ②については、当初予定した奄美北部の神社の巡検がほぼ終了し、大和村の伝承創建社についても巡検を実施することができた。巡検によって、神社内の石碑等の基礎資料を入手することができた。また、管理が行き届いている(清掃されている)神社とそうでない神社があることを把握できた。こうした管理状況の違いは、地域住民と神社との関係を反映する一つの指標であり、今後の神職や氏子、地域住民へのインタビュー調査に反映させたい。 ③については、神職から、神社の祭祀に関与する経緯を把握する観点からファミリーヒストリーの聞き取りを行なった。これは当初の研究計画には含まれていなかったが、奄美大島北部の神社関係者へのインタビューが、調査対象者とのスケジュールがあわず実施できなかったため、これまで調査経験がある与論島にてインタビューを実施したものである。聞き取りの結果、奄美大島北部で期待していた伝承が神社に接続していく過程や伝承と神職の系譜の関係についてデータが得られた。そのため、今後も奄美大島北部でのインタビュー調査とあわせて、与論島におけるインタビュー調査も継続していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、初年度(平成27年度)に現地の神社の巡検(インタビュー調査にむけたパイロット調査)と郷土資料の整理を完了する予定であったが、平成27年度には、当初の想定以上に地域内の神社所在地が分散していたことや、博士論文の執筆と同時進行での調査であったことから、神社の巡検については、予定の半分程度しか完了できず、郷土資料の整理についても完遂することができなかった。 2年目となる今年度(平成28年度)には、前年の遅れを取り戻すべく研究を進めてきた。その結果、神社の巡検と資料整理はほぼ実施することができた。 他方で、当初の計画で平成28年度に予定していた、奄美北部の神社関係者からのインタビュー調査については、調査対象者との都合があわなかったことから、実施することができなかった。そのため、当初の計画には含まれていなかったが、これまで調査経験のある与論島で、当地の伝承創建社である安司根津栄神社の神職へのファミリーヒストリー調査を行なった。聞き取り内容については現在整理中であるが、伝承が神社と結びつく過程や、伝承と神職の系譜との関係について聞き取りを行なうことができた。こうした観点は、今後の奄美北部でのインタビュー調査で、質問項目として反映させることができると考えている。 このように、当初の計画通りに進んでいない点もあるが、それを補完する形で調査研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画では、最終年度である平成29年度は、研究スケジュールに余裕を持たせるために、不足資料の収集や成果の総括・発表の年度と位置づけていた。しかしながら、平成28年度実施予定の奄美北部の神社関係者へのインタビュー調査が実施できていないため、まずはそこから手をつけていきたい。インタビュー調査については、時間的な制約から全ての神社を対象とすることはできないため、巡検の結果を活かし、地域住民と神社とのかかわりが鮮明に見られる(維持管理の行き届いている)神社に対象を限定する。これによって、効率的な調査が期待できる。 また、当初の計画には含まれていないが、与論島の神職からの聞き取り調査では、伝承が神社と結びつく過程や伝承と神職の系譜との関係に関する興味深いデータが得られているため、奄美大島北部の調査と平行して実施していくことにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に調査協力者に依頼していた郷土資料の整理を、本年度は研究代表者の町が行なった。その結果、人件費の支出が無かった。また、平成28年度に予定していた奄美大島北部の神社関係者へのインタビューが、調査対象者との日程があわなかったことで実施できず、その結果次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度には、インタビュー調査を実施する予定である。そのため、次年度使用額については、インタビュー調査の旅費や、インタビューデータの文字起こしのための人件費にあてたいと考えている。
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