本研究の目的はプラトンやアリストテレスをはじめとした古代ギリシアにおける文芸論の現代的意義を提示することである。そこで本研究ではまず古代ギリシア文芸論の基礎的概念である「模倣(ミーメーシス)」に着目し、その概念の歴史的変容の過程と哲学史において果たす重要性を明らかにした。以上の研究を基盤として、(1)ミーメーシス概念と現代の表象概念、また創作を鑑賞する際に現代の我々が持つ(2)「フィクションである/ない」と古代の「真実/虚偽」という思考を比較検討し、現代とは異なった芸術鑑賞の態度を提示するに至った。
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