研究実績の概要 |
平成29年度は、前年度までに得られた結果をもとにして、代表的なデカルト主義者ヨハネス・クラウベルク (1622-1665) の著作に注目した。本研究者がこれまでの研究で分析してきた 『神と我々の認識にかんしての百の演習』 (_Exercitationes Centum de cognitione dei et nostri_, 1656)に加えて、クラウベルクの思想の体系が表れている『オントソフィア』(_Ontosophia_, 1647, 1660, 1664) のテクスト分析を行った。加えて、Savini (2009) やVerbeek (1999) によるクラウベルクについてまとめられた二次文献の評価も行なった。成果としては、11月の上智大学での発表に加えて、2018年度刊行の『スピノザーナ』に論文を掲載予定である。 これまでの研究から、17世紀後半の文脈を理解するには、より包括的に16世紀の宗教改革を理解する必要があることが明らかになってきた。そこで今年度は、ルターと彼の政治・神学思想の分析にも時間をあてた。成果としては、6月の学習院女子大学での発表と日本ドイツ学会での発表に加えて、9月には日本基督教学会で研究発表を行うことができた。とりわけ後者では、宗教改革研究の専門家から貴重な助言や批判を受けることができた。こうした成果発表や研究協力者らの助言を通して、本研究は当初の研究目的によりいっそう近づいたと思われる。
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