本研究では、近世哲学研究においてデカルトとスピノザをつなぐ鍵とされるオランダ・デカルト主義に光をあてることで、(1)オランダ・デカルト主義における宗教と政治の関係、(2)オランダ・デカルト主義と哲学者スピノザの関係、(3)オランダ・デカルト主義者クラウベルクの宗教・哲学思想を明らかにすることを試みた。その結果として、近世における思想は、神学的な正統と異端の関係のなかで展開しており、急進的といわれるスピノザの思想の一部分はすでにオランダ・デカルト主義者たちの著作に表れており、またさらには教会や伝統的な神学との関係においてデカルト主義者の思想にも多様性があることが明らかになった。
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