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2017 年度 実績報告書

ヴァイマール期保守革命論の再検討:「ドイツらしさ」とプロテスタンティズムの関係

研究課題

研究課題/領域番号 15K16634
研究機関北海学園大学

研究代表者

小柳 敦史  北海学園大学, 人文学部, 准教授 (60635308)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード保守革命 / プロテスタンティズム / 宗教改革記念 / ディーデリヒス
研究実績の概要

2017年度は前年度の研究計画に従って、保守革命的言説の担い手が執筆陣に名を連ねていた雑誌『タート』におけるプロテスタンティズムの論じられ方を分析した。『タート』は何回かプロテスタンティズムを特集しているが、本研究では特に1917年に刊行された号に掲載された諸論考に注目した。なぜなら、1917年は宗教改革400周年記念の年であり、プロテスタンティズムやルターに関する言説が大量に生み出されていたため、その中での位置付けを考察することで、『タート』に掲載された論考の特色が明らかになるものと見込まれたからである。
1917年のルター言説において支配的だったのは、保守的ルター派によって唱導された、戦意高揚のための「ドイツ的ルター」の像であった。しかしながら、ナショナリスティックなルター像を提示する主流派に同調しない立場も存在した。この意味で、宗教改革400周年記念は神学的リベラリズムの試金石となっていた。
一方、編集者のディーデリヒスによって『タート』に集められた著述家たちの宗教的立場や関心は様々であり、そこに統一的なルター理解や宗教改革評価を見出すことは難しい。それでも基本的な方向性としては、(1)教会批判者としてのルター理解、(2)ルターにおける生の宗教性の発見の重要性、(3)知識人宗教としての新たな宗教運動の必要性、といった内容を取り出すことができる。保守的ルター派の称揚する「ドイツ的ルター」に対してルターの内面的な宗教性に注目するという、『タート』の寄稿者たちに認められる発想は、リベラルな神学者たちと共通するものであった。
宗教改革400周年記念は、ルターをドイツの英雄として祭り上げる言説を大量に生み出した裏側で、リベラルなプロテスタンティズムと、『タート』に代表される「教会外の宗教」や保守革命的言説とを接近させるという側面も持っていたのである。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 宗教改革記念400周年記念再考2017

    • 著者名/発表者名
      小柳敦史
    • 雑誌名

      基督教学研究

      巻: 37 ページ: 印刷中

  • [雑誌論文] キリスト教と「運命」-プロテスタント神学における『西洋の没落』の残響-2017

    • 著者名/発表者名
      小柳敦史
    • 雑誌名

      宗教研究

      巻: 390 ページ: 1-24

    • DOI

      https://doi.org/10.20716/rsjars.91.3_1

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 宗教改革400周年記念再考2017

    • 著者名/発表者名
      小柳敦史
    • 学会等名
      日本基督教学会第65回学術大会

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公開日: 2018-12-17  

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