本研究ではまず、近現代フランス哲学史上の習慣概念を、感性という枠組みから読みなおし、それが、「創造」概念といかにかかわるかをさぐった。習慣論の「経験論的転回」とともに、不変性たる習慣から、可変性たる習慣へと習慣概念の含意が移り変わるにつれ、習慣が創造とかかわるにいたる。そのとき「飽き」は、創造の受動性という両義的な役割をになう。すなわち、古(旧)いものの忌避の感情でありながら、いわば内側からの更新を果たす。そうした「飽き」を「身体図式の組み替え」にさいしての「疎外感」とメルロ=ポンティは言い、河本英夫は「総合的感性」と呼んだ。
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