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2016 年度 実施状況報告書

「アイヌ絵」の成立と展開についての基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K16643
研究機関北海道博物館

研究代表者

春木 晶子  北海道博物館, 研究部, 学芸員 (50591864)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード夷酋列像 / 近世絵画 / 蝦夷 / 神仙 / 神話 / 仙人
研究実績の概要

本研究の目的は、蝦夷地に対するイメージがいかに形成され、変容してきたかを、アイヌを描いた絵の成立と展開に着目することで、明らかにすることである。
本年度は、前年度に引き続き、蠣崎波響筆《夷酋列像》に焦点を当て、調査を行い、次の見解を得た。すなわち、第一に、《夷酋列像》の制作は、『歴代名画記』に載る、中国古代の功臣図壁画制作の故事に則って行われたこと、第二に、「夷酋列像」の絵画形式や画面構成は、功臣図や日月屏風といった、君主を荘厳する機能を有する絵画に倣うこと、第三に、「夷酋」たちの姿は、和漢の神仙の姿や伝説を喚起する意図をもってつくられたこと、である。この見解を検証するために、記紀神話の神々や中国の仙人たちの図像や伝説を、これまでに集積した「アイヌ絵」の画像や関連するテキストと照らし、比較・分析した。
他方で、「アイヌ絵」という用語の妥当性、その語が指し示す絵画群に関するこれまでの研究の問題点を、検討・整理し、『北海道史研究協議会創立五十周年記念出版 北海道史事典』にまとめて発表した。そのことによっても、上述した、アイヌを描いた絵と、和漢の神仙を描いた絵との関連を検証することの意義を再認識し、今後の調査で重点を置くべき事項と位置づけた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定していなかった、和漢の神仙を描いた絵に関する調査を加えたものの、アイヌを描いた絵の所在調査と画像の集積・分析は予定通り継続して行っている。

今後の研究の推進方策

研究計画の通り、集積した画像のデータベース化を行う。加えて、《夷酋列像》に関する見解を論文にして発表する予定である。

次年度使用額が生じた理由

予定していた調査を次年度に延期したため。

次年度使用額の使用計画

予定していた調査のための旅費とする。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 図書 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 【研究発表要旨】「異」なる功臣―「夷酋列像」の制作と受容―2017

    • 著者名/発表者名
      春木晶子
    • 雑誌名

      美術史

      巻: 181 ページ: 152-153

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 江戸のエゾ像2016

    • 著者名/発表者名
      春木晶子
    • 学会等名
      北海道文化財保護協会
    • 発表場所
      北海道庁赤れんが庁舎
    • 年月日
      2016-06-11
    • 招待講演
  • [学会発表] 「異」なる功臣 ―「夷酋列像」の制作と受容―2016

    • 著者名/発表者名
      春木晶子
    • 学会等名
      第69回美術史学会全国大会
    • 発表場所
      筑波大学
    • 年月日
      2016-05-29
  • [図書] 北海道史研究協議会創立五十周年記念出版 北海道史事典2016

    • 著者名/発表者名
      北海道史研究協議会(編)
    • 総ページ数
      343
    • 出版者
      北海道出版企画センター
  • [図書] 北の学芸員とっておきの《お宝ばなし》~北海道で残したいモノ、伝えたいコト2016

    • 著者名/発表者名
      北海道博物館協会学芸職員部会(編)
    • 総ページ数
      548
    • 出版者
      寿郎社
  • [備考] コラムリレー「学芸員の研究ノート」第6回「「夷酋列像」の「日月」・「四神」」

    • URL

      http://www.hk-curators.jp/archives/3103

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公開日: 2018-01-16  

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