宗教的な理由で多くの建築装飾や美術品などに人物や動物の具象表現が避けられてきたイスラーム地域において、人物や動物の姿が挿絵のなかで多く描かれている写本絵画はイスラーム地域における具象表現の展開を知る上で数少ない資料である。本研究では、アル=カズウィーニーの『被造物の驚異』の挿絵における図像表現の伝統と革新について初年度はニューヨークにおいて調査し、2年目はイスタンブルとドーハで調査を実施した。トプカプ宮殿博物館附属図書館での写本調査は、これまで知られていなかった複数の写本を確認、その重要性を指摘した。研究成果は本研究を基課題とする「国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)」に発展させている。
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