1930年代フランスにおいて科学技術の発展によって獲得された自然に対する新しいイメージが人間の視覚や思考に与えた影響と抽象芸術の展開との結びつきについて解明した。特に「ピュリスム」の運動にかかわったアメデ・オザンファン、フェルナン・レジェ、ル・コルビュジエ、シャルロット・ぺリアンが1930年代に有機的なフォルムを用いた作品に移行していく過程と自然に対する眼差しの影響関係を個々の事例を通じて明らかにした。また、そうした制作活動の転換と当時の社会状況との深い関連性を「リアリスム」の概念の解釈を通じて検討し、自然における様々な発見が抽象表現に結び付く可能性を秘めていたことを論じた。
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