江戸時代に幕府の御用絵師として活躍した住吉派は、江戸時代のやまと絵の動向を考察する上で重要不可欠な存在であるが、江戸前期に活躍した住吉家初代の如慶・二代目の具慶以降の研究は稀少であった。 本研究ではまず、住吉派研究の基盤として、研究の遅れている江戸中期から幕末までの歴代当主たち(三代廣保、四代廣守、五代廣行、六代廣尚、七代弘貫、八代廣賢)の作品調査を行い、それぞれの画風の特色を明らかにした。また、住吉派周辺の絵師たちの作例にも調査を広げ、住吉派の得意とした表現方法や画題がどのように広まるのか、同時代の他派の絵師たちとどのような影響関係があるのかについて具体的に明らかにした。
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