本研究は植民地期のサハラ以南アフリカにおけるキリスト教布教びそれに伴う当地の宗教表現を芸術を介して考察した。研究をすすめるにあたり、1)植民地支配に伴う宣教師ら(アフリカ宣教会等)の文明化の理論と「偶像」「呪物」の収集・展示に関する資料分析、2)植民地状況下のアフリカ芸術の創造と支援に従事する宣教会の植民地(主義)的役割とそれを後押しする行政のロジックの分析を行った。これらの分析を通して、アフリカ芸術の「発見」を取り巻く言説を宗主国フランスにおけるライシテの動向と結びつけることが可能となり、アフリカ美術史の新たな領域の提示と隣接諸分野との連携可能性とを示すことができた。
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