本研究は、近代日本におけるプレ・シネマの視覚文化に関し、幻燈と博覧会を中心に、初期映画との関係性を明らかにする実証的な研究を進めた。具体的に、広範な資料調査を通じて、前者について、浅草の幻燈文化と初期映画との関係を、後者について、明治期の博覧会における初期映画の位相を明らかにした。また、上記に加え、弁士(無声映画の説明者)と多様な口頭芸の関係性、および地方における映画館文化にも分析の対象を広げた。具体的に、前者は浪花節と弁士の連続的な関係を、後者は徳島県西部における劇場から映画館への移行の事例等を調査考察した。
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