本研究の目的は、日本における「アイドル」文化が、地域の活性化にいかに機能しているのかを探ることにある。本年度は、2015年度に抽出した「ご当地アイドル」(129組908人)のなかでも、活動期間が比較的長いグループの関係者(運営者ならびに可能である場合にはメンバー自身)に対して聞き取り調査を実施した。これは、「アイドル」文化を持続可能な地域振興に活用するためにはどうすれば有効であるのかを導きだしたいという意図からである。これまでに調査経験がないグループに関して新たに調査を実施するのみならず、すでに実施した「ご当地アイドル」についても継続的に聞き取りを実施することを通して、経過観察し、持続性の要因を探った。 同時に、ファンといかなる交流が行われているのかを探るために、「ご当地アイドル」関係のイベントにおいて参与観察も実施した。本年度は、東京(お台場)で開催される日本最大規模のアイドルイベントTokyo Idol Festival2017および京都で開催されるKyoto Idol Carnivalといった多くの「ご当地アイドル」が一堂に会する関東関西双方のイベントでの参与観察により、地域による差異についても注目を払った。また、研究・調査の成果を国際的に発信、国内外の関連領域の研究者とともに 当該分野に関する議論を深めるために、日本のポピュラーカルチャーに詳しい台湾の研究者と意見交換を行った。 この他、観光学術学会といった国内の学術会議や当該関連分野の研究者が集う研究会での口頭発表、「ご当地アイドル」と地域振興に関して日本語、英語双方の論考としてまとめ書籍化(共著)していくことによって、「ご当地アイドル」の関係者を含む一般に研究成果を公開していくよう努めた。
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