本研究課題は、現代のポスト・ヒューマン論や管理・コントロール社会論の観点から、20世紀半ばまでのアメリカの心理学とメディアの歴史を捉え直し、現在にまでいたる論点を明らかにした。また、19世紀に登場した科学的心理学という学問知と、社会や文化との関係性を検討するため、科学の応用、そして大衆化・普及をめぐる問題に着目した。人間の心身をめぐる同時代的な心理学知が、心理学者という特定分野の専門家と、その分野の非専門家と双方の間で、自己と他者をコントロールするのに役立つ知のようにみなされ、広がった状況を具体的な領域に即して分析した。
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