研究課題/領域番号 |
15K16679
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
中本 真人 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (30734678)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 上代文学 / 中古文学 / 中世文学 / 芸能史 / 年中行事 / 神楽 / 信仰 / 朝儀復興 |
研究実績の概要 |
本年度の主な業績として、単著の新典社新書68『宮廷の御神楽―王朝びとの芸能―』(新典社、平成28年)をあげることができる。本研究課題でもある宮廷の御神楽については、研究者による論集があるものの、一般書がなかった分野の1つである。同書は、宮廷の御神楽の入門書として執筆されたが、日本芸能史・日本音楽史の入門書としても読むことのできる内容となっている。本研究課題の成果は、広く一般書として刊行される計画であったが、同書の刊行によりその目的を達することができた。今後は、一般の読者だけではなく、大学の講義や一般向けの講座のテキストとして利用される見通しである。 さらに、現在一般向けの共著として『古典文学の常識を疑う』(勉誠出版、平成29年5月刊行予定)が進められており、その1項目として「中世歌謡は信仰とどのように結びついていたか」を執筆した。こちらも本研究課題に密接に関係するテーマであり、研究成果を学界だけでなく、広く一般の読者に向けて問う内容となっている。 また「上代文学会研究叢書」の1冊として、藤原茂樹編『上代文学と芸能(仮題)』(笠間書院、平成29年刊行予定)が企画されており、拙稿「神楽に先行する芸能」も執収録される(現在印刷中)。この論考では『貞観儀式』における園韓神祭の「神楽」の記述に注目し、「神楽」が下級の奉仕者の饗宴であった事実を確認した。さらに、その後、競馬負方献物の「神楽」や、賀茂臨時祭の還立の御神楽に展開していく経過も整理している。 以上のように、当該年度は一般書の執筆、刊行のほか、論考の執筆を進めるなど、研究課題に充分な成果をあげられたものと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究課題に関する論考の執筆を進めると同時に、一般書の刊行も達成するなど、当初の計画以上に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の対象とする時代は、平安期から中世期にかけてである。今後は中世を中心に有職故実書や公家の日記の調査を進め、御神楽の実態の解明を行う計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
『大日本史料 第6編 1~3』の購入費用の一部として支出することになったため。
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次年度使用額の使用計画 |
『大日本史料 第6編 1~3』の購入費用の一部に支出する。
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