研究課題
若手研究(B)
東常縁筆『大中臣祓』(神宮文庫蔵)は両部神道の秘伝書である。常縁が讃岐国賢円から本書を伝受したのは、常縁が和歌の師である堯孝から古今伝受をしているのとちょうど同時期である。すなわち、常縁は、伝受中の古今伝授を補うものとして、両部神道に関する知識を増やそうと努めていた。さらに、『大中臣祓』中の清浄偈は、切紙の形に改められ、常縁の手によって古今伝授の中に組み込まれていた。ここで両部神道色の強まった古今伝授は、次の世代の「当流切紙」においては吉田神道によって塗り替えられていた。
日本中世文学