本研究では、被爆という出来事をどう記憶するのか、現在の状況をどう把握するか、そして未来をどう描くかという問題について、1940年代後半から50年代における、被爆地長崎の文学表現や文化運動を取り上げて検討するものである。1.地元で発行されたサークル誌・文芸誌の資料調査や、当事者への聞き取り調査を踏まえて、市民や労働者による文化運動の実態を明らかにした。2.被爆の記憶や現在の復興に関して、表現の定型化と逸脱がせめぎあう様を明らかにした。3.サークル同士の交流を通じて平和・原爆問題に対する批判や新しい平和運動が生まれたことを明らかにした。
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