研究課題/領域番号 |
15K16705
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
森本 道孝 近畿大学, 経済学部, 准教授 (90581182)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | Sam Shepard / アンチエイジング / ロック音楽 / アメリカ演劇 / メディア / マスキュリニティ / 老い |
研究実績の概要 |
現代アメリカ演劇に描写される「マスキュリニティ」と「老い」の当該研究を進めるにあたって、これまでの研究対象であった男性アメリカ人劇作家Sam Shepardに作品に見られる世代交代への恐怖に関する部分の考察を深めることからスタートした。 特に、初期劇作品群に見られる作家自身の若い時代と密接にかかわるロック音楽への傾倒と、自身の「老い」が進むに従ってその音楽の世界とのギャップに苦しみながらもしがみつくさまを一種のアンチエイジング願望として読み解くことができた。 この成果は、2015年9月12日(土)から13日(日)に開催された日本アメリカ演劇学会第5回大会において、司会兼パネリストを務めたシンポジウム「メディアミックスの観点から読み解くSam Shepard」での発表「抵抗のロック音楽―Sam Shepard作品に見るアンチエイジング志向―」において、発表することができた。また、同パネリストや参加の研究者たちとの質疑・議論によって、さらなるを深めることができた。 日本と同じく高齢化が進むアメリカにおいても社会的な問題となっている「エイジング・アンチエイジング」を「演劇」というメディアの中の「音楽」を通じて読み解くジャンル横断的な研究には、社会へのアピール力が強く、十分に意義のあるものであると言える。 また、この成果は、2016年度中に発刊予定の、日本アメリカ演劇学会の機関誌『アメリカ演劇』に投稿し、広く世に示す予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、アメリカの男性劇作家の世界に見られる「マスキュリニティ」と「老い」に関する考察を進めることができ、シンポジウムでの成果の発表も行うことができたため、基本的には順調に進んでいると言える。また、論文投稿のめども立っているため次年度の研究へのつながりも順調である。 ただ、予定ではニューヨークへの出張を行い、ブロードウェイなどでの実地調査を行うことを計画していたが、日程の都合によって初年度には盛り込むことができなかった。これを次年度に差し入れることで十分に補うことが可能であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
ニューヨーク、ブロードウェイへの出張および実地調査を、初年度分と合わせて少なくとも2回は実施したいと考えている。これによって、当該研究にさらなる深みが出ると考える。 また、研究対象を白人男性作家から広げ、黒人作家やアジア系の作家の作品にみられる「マスキュリニティ」と「老い」の関連性について研究を進めたい。必要と考えられる書籍や文具などの購入や、調査手続きを進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画では、初年度の1回ニューヨークブロードウェイへの海外実地出張を行う予定であったが、日程の調整が難航し、不可能であった。また、日本国内での学会出張が近距離での開催が多く、当初の予定よりも少ない費用となった。 このため、その必要経費と想定していた旅費の計上が少なくなったために次年度に繰り越す必要が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
初年度には調整できなかった海外での実地調査について、次年度には少なくとも2回の実施を早くから想定し、必ず調整をする。また、国内の学会出張にもさらに積極的に参加することを目指し、研究発表の機会を増やすことや、他の研究者との討議の機会をさらに充実させる。 こうすることで、繰り越した分の研究費を必要な目的を満たす形で使用し、初年度の未使用分の目的を十分に補うことが可能であると考えている。
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