研究課題/領域番号 |
15K16719
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研究機関 | 名古屋外国語大学 |
研究代表者 |
加藤 有子 名古屋外国語大学, 外国語学部, 准教授 (90583170)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ホロコースト / ポーランド文学 / ポーランド美術 / 博物館展示 / 戦争の記憶 / ワルシャワ・ゲットー / 比較ジェノサイド研究 / 写真 |
研究実績の概要 |
本研究のテーマの一つであるワルシャワ・ゲットーというトポスを考えるために、、ワルシャワ・ゲットー蜂起鎮圧時のドイツ側の記録写真とポーランド文学に共通して現れるイメージの流通から集合的イメージの形成を考える、という構想を立て、関連資料の収集と調査を進めた。 9月からは本課題の発展のために、国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)を得て、ポーランドのワルシャワにあるポーランド科学アカデミー文学研究所のホロコースト文学研究チームに客員研究員として所属し、研究を進めている。ワルシャワで開かれるホロコーストをめぐる領域横断的セミナールや国際学会、シンポジウム、講演に参加し、最新の研究動向を把握するとともに、自身の研究について意見交換する機会に恵まれ、さらに研究上の人脈も広げることができた。こうした交流は、今後、日本で国際シンポジウムを開催するための準備も兼ねる。 1月には日本におけるホロコーストの受容について、セミナールで講演を行い、のちに論文としてまとめた。渡航前には原爆をはじめとする日本の戦争の記憶に関する調査も行った。本研究の将来的展開として想定していた、日本の戦争の記憶との比較研究の導入的段階を行うことができた。 ポーランド滞在の利を活かして、ポーランドをはじめ、ドイツなどヨーロッパの各図書館で資料収集を進めたほか、収容所や記念碑関連の調査も行った。ヨーロッパ各地の美術館で関連の美術作品も調査した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
申請時に予定していなかったポーランドの長期滞在により、1.ホロコースト関連の現地調査、2.資料収集、3.海外の研究者との交流を集中的かつ日常的に行う環境に入り、研究が進んでいる。申請時に想定していなかった広がりを持って研究が進展している、という意味で、当初の計画以上に進展している。ポーランドでの論文発表や口頭発表の機会も予想以上に得ることができている。さらに、将来的課題と考えていた日本における戦争の記憶との比較についても、調査し、概要をまとめることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2017年5月にドイツで開かれるホロコースト関連の学会で口頭発表、6月にユダヤ研究所で日本におけるホロコースト受容について比較的見地からの講演を行う。9月までに、ポーランド国内およびヨーロッパの未訪問の収容所を見学・調査する。また、現地ですべき資料収集と調査を集中的に行う。10月以降は日本で理論的文献を読みつつ、調査内容を日本語で論文としてまとめる作業に入る。海外の協力者を招いた国際シンポジウムの計画を開始する。
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