研究課題/領域番号 |
15K16719
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
ヨーロッパ文学
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研究機関 | 名古屋外国語大学 |
研究代表者 |
加藤 有子 名古屋外国語大学, 外国語学部, 准教授 (90583170)
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研究協力者 |
レオチャク ヤツェク
スサク ヴィタ
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ポーランド文学 / ポーランド美術 / ホロコースト / ユダヤ人虐殺 / ワルシャワ・ゲットー / 記憶 / 博物館 / 写真 |
研究成果の概要 |
第二次世界大戦中、ポーランドはナチス・ドイツによるユダヤ人虐殺の現場となった。本研究は、ポーランドにおけるホロコーストの記憶の特殊性と変容をジャンル横断的かつ相関的に、文学、美術、歴史資料、新聞記事、歴史背景を突き合わせて捉え直す。第1に、その他の地域の記念碑や博物館展示との比較を通し、社会的言説や記念碑の世界標準化とポーランド独自の文脈を明らかにした。第2に、ユダヤ人に対するポーランド人の態度を倫理的に問うトポスとして、ゲットーとワルシャワ・ゲットー蜂起に注目し、建物から飛び降りる人の姿がその象徴的イメージとして機能していることとその意味を、原イメージの記録写真を同定しつつ明らかにした。
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自由記述の分野 |
ポーランド文学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
現在、欧米ではゲットーの記録写真が注目を集めている。忘れられつつあったワルシャワ・ゲットーの記録写真に光を当て、ポーランド的特殊性という観点から論じる本研究は、ホロコースト研究に対する一つの貢献である。日本ではホロコーストに対する関心が高いが、アウシュヴィッツ以外の絶滅収容所やゲットーの現状についてはあまり知られていなかった。本研究は、その空隙を埋めるものである。狭いナショナリズムに基づく第二次世界大戦に関する修正主義や否定論が世界的に強まるなか、国際的な研究ネットワークを築き、資料と専門知に基づいて社会に提言することは、学者の社会的責務であり、貢献であり、本研究もその一端を担う。
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