本研究は、会話において、話し手の発話や身体動作が、その発話の受け手、及び、それ以外の参与者(傍参与者)によって再生される現象を取り扱った。特に、これまで十分に検討されていない、(1) 身体動作の再生、及び、(2) 傍参与者による発話の再生に注目し、それらによって相互行為で何が達成されるのかについて検討した。自然会話のビデオデータを用いた相互行為分析により、受け手や傍参与者が、先行話者による発話や身体動作を単に繰り返すのではなく、それらを再利用することで、先行行為の特定の箇所に対する反応を埋め込みつつ、それをきっかけとした新たな行為や活動を構築する微細な過程を明らかにした。
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