本研究は、fMRIを用いて第二言語の音素獲得時の神経メカニズムを解明するものである。平成29年度は、収集したfMRIデータの解析を行った。
10名の解析可能データのうち、5名の個人解析を行った。その結果、純音に反応する時に比べ母音弁別を行っている際には学習2週間後において左下前頭回から島前部にかけ学習前より優位な賦活を認めた。行動データにおいても2週間後に弁別課題の成績が上昇した。これらの結果から、予備解析で得られた結果と同様に、学習後期において、音素のカテゴリー情報に関わるとされる下前頭回が機能すると考えられた。音声の音響的分析に関わる上側頭回の機能の学習段階の差異はまだ解明できなかった。以上より、第二言語の音素獲得には音素のカテゴリー情報が有効に働いていることが示唆された。平成29年度の解析では機能的結合の解析までは至らなかった。
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