研究課題/領域番号 |
15K16750
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
須藤 潤 同志社大学, グローバル・コミュニケーション学部, 助教 (00454968)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 感動詞 / 基本周波数 / 発話 / 機能 / 後続 / 会話 |
研究実績の概要 |
前年度に採集した会話データのうち、感動詞が含まれる発話の音声データを切り取り、音響分析(基本周波数(F0)、持続時間の測定等)を行うためのラベリング作業を行った。この作業については、事前に研修を受けた作業補助者とともに行った。さらに、一部の音声データについては、音響分析を実施し、感動詞区間および後続語区間のF0値・持続時間の測定を実施した。 その上で、男性ペアおよび女性ペア計二組の会話の雑談部分(合計約20分)に現れるあ系感動詞・うん系感動詞から後続語の音調パターンについて検討を行った。特に、あ系感動詞・うん系感動詞と後続語とのF0の高さの関係を調べるとともに、後続語の特徴や、その発話が談話構造上、どのような機能を持つかについて観察した。 その結果、感動詞のF0を基準に、後続語が同程度の高さ、または低い発話には「なるほど」といった後続語、特にうん系感動詞の後には「そう」といった後続語が含まれる発話が見られた。傾向として、感動詞部分と一体となって、直前の発話を受け入れるもの、承認するものが多かった。 一方で、後続語が明らかに高いものについては、話し手が直前の相手の発話内容をうん系感動詞で受け、後続語を含む部分では、直前の発話内容から関連する内容に新たに展開するものが見られた。また、あ系感動詞の後に「そうなんですか」といった後続語が多く見られるなど、単に直前の発話を受け入れるだけではなく、未知の知見に気づくような発話が多かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究代表者が行う会話データのチェック、音声データへのラベリングのための準備作業に時間がかかったため。研究代表者が全6組・合計約300分の会話データを昨年度納品された文字化データと突き合わせ、記入漏れ等をチェックすることに時間がかかった。また、研究代表者が一部の会話データを用い、音声データの切り取り、音響分析の一連の作業を予行的に実施した上で、他の会話データについて、音声データとして切り取る場所を指定し、作業手順等をマニュアル化した。この作業についても研究代表者が単独で実施する作業であり、時間を費やした。結果的に、研究代表者が補助者にラベリングの作業を依頼する時期が遅れ、当初の予定であった「音調パターンと発話意図に関する仮説」「合成音声の作成・聴取実験」の段階には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
補助者によるラベリングや分析ソフトにより抽出されたF0値を研究代表者がチェックしながら、音声データの音響分析(感動詞区間・後続語区間のF0値や持続時間の測定)を進める。音響分析ソフトのプログラミングにより、測定と保存に関しては本研究に合わせて自動化できているので、作業の高速化を図る。その作業を経て「音調パターンと発話意図に関する仮説」を立て、今年度後半には「合成音声の作成・聴取実験」を開始させる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
文献購入等を学内の他の研究費でも賄うことができたため、また、研究成果公表用のWebサイトの管理を無料で行っているため、当該年度の予算よりも実支出が少なく済んだ。
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次年度使用額の使用計画 |
当初の予算に計上されている、実験実施会場の借り上げ費用、補助者謝金、成果発表のための旅費、会場費等への支出に加え、円滑な実験実施、結果集計のためのアンケートフォーム作成、複数台の端末(タブレット等)への支出を想定している。
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