会話に現れる感動詞とそれに後続する発話の音調パターンと意味・機能との関係を明らかにするべく、平成27年度に採集した会話データを用い、感動詞が含まれる発話の音調パターンを明らかにすることにした。分析対象とした会話に初対面の会話(2組)を加え、親しい関係の会話についても、さらに対象を広げた(4組)。1組の会話につきおよそ50分、合計で300分程度の電話会話(雑談および課題会話)を利用した。その中から「(あ系・うん系・え系)感動詞+1文節」(例:「ああ、そうだね」)で構成される発話、および、感動詞が2回以上反復される発話(例:「うん、うん、うん」)を抜き出し、冒頭の感動詞区間の中央の基本周波数(F0)値を基準に、後続(後続区間のF0最大値)が高いか低いかという傾向を分析した。分析にあたり、全体的な特徴の抽出に加え、以下の要素が後続の高さに影響を与えるかについて検討を行った。(1)感動詞の持続時間、(2)感動詞自体のF0変動、(3)後続までの無音区間、(4)後続語のアクセント核の有無 その結果、まず、全体的な音調パターンとして、後続のF0最大値は、感動詞区間の中央のF0値を基準にすると、おおむね1~2半音程度高いことがわかった。一方、感動詞が反復する場合は、後続のF0最大値は1半音程度低かった。 次に、(1)の影響をみたところ、うん系感動詞や感動詞の反復がある場合に限り、感動詞の持続時間が長いほど後続が高くなるという相関が弱いながらも見られた。(2)については、反復の上昇音調にのみ弱い相関がみられたが、数が限られており、全体的にはほとんど影響はないと考えられる。(3)については、無音区間があると、うん系感動詞では後続が比較的高く、え系感動詞では比較的低いという結果が見られた。そして、(4)については、後続語の語頭のアクセントの影響はみられなかった。
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