研究課題/領域番号 |
15K16751
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
平山 真奈美 成蹊大学, 文学部, 准教授 (90580027)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 母音の無声化 / 日本語 / 音韻論 / 形態論 / 言語習得 |
研究実績の概要 |
日本語の音声上の大きな特徴の一つである母音の無声化について、多くの研究がこれまでされてきたものの未解明の部分も多いことを受けて、本研究では、特に次の3つの課題に取り組んでいる。(1)語末の母音の無声化について、音節や母音が保持されているのか。(2)他の文法モジュール、特に形態論、と母音の無声化がどのように関わっているか。(3)子どもは母音の無声化をどのように習得するのか。 平成30年度は、大きく2点の成果があがった。まず、(2)の、形態論が母音の無声化にどのように影響を与えるのか、または与えないのか、についての研究で、前年度までの研究成果を論文にまとめて投稿した。現在結果待ちである。 また(3)の、母音の無声化を子どもがどのように習得するかについての研究を進めた。計画通りにNTT乳幼児音声データベースに収録されている経年録音音声データから話者を抽出し、データのコーディングを行い、分析を始めた。大人の母音無声化の具現と比べて量的な差があるのか、また無声化の起こる音声環境など質的な差があるのかを調べ、今年度分析したデータに関していえば、量的および質的両方の差があることがわかった。次年度はこの点について、更に当該話者の対象データを増やし、更に話者の数も増やして分析を進める予定である。また(1)の語末の母音無声化についても研究を進める。言語習得のデータから、この環境の無声化は語中の無声化と若干質が異なることがわかったため、この点も踏まえて分析を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
3つの課題のうち(2)母音の無声化と形態論とのインターフェイスと(3)言語習得については、概ね順調である。研究期間があと1年残っていることもあり、期間内に一定の成果を出せていると判断する。これに比べて(1)の語末の母音の無声化については、成果が学会発表や論文発表に至っていない。よって、着手はできているが成果が公になっていない課題が一つあるという理由から、全体としてはやや遅れていると判断した。遅れている理由の一つには、研究者の所属異動により、研究にかけられる時間が当初の予定より少なかったことが挙げられる。また、この異動に伴い(1)で共同研究をしている松井氏とのミーティング回数が減ったことも理由である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、課題(3)母音の無声化の言語習得について引き続き研究を進め、(1)語末の母音の無声化についての研究成果も出せるようにする計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究実施を一年延長したため、次年度行う言語習得に関する研究および語末の母音無声化の研究にかかる経費(主に学会発表にかかる経費)が次年度使用額として残った。次年度使用額は以上の目的に使用する。
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