研究課題/領域番号 |
15K16752
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
今西 祐介 関西学院大学, 総合政策学部, 助教 (80734011)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | (分裂)能格性 / 擬似名詞抱合 / 名詞化 / 名詞省略 / マヤ諸語(カクチケル語、イシル語) / 喜界語 / 日本語 |
研究実績の概要 |
本年度も昨年度に引き続き、研究代表者の今までのマヤ諸語研究に基づき、日本語、喜界語(あるいは喜界方言)およびマヤ諸語を含む能格言語の比較統語論的研究をおこなった。具体的には、分裂能格性、(擬似)名詞抱合、分裂格システム、名詞化、名詞省略といった現象を中心に検証をおこなった。特に、マヤ諸語の進行相における分裂能格性、イシル語(マヤ語族)の道具句を伴う分裂能格性、擬似名詞抱合を基にした日本語と能格言語の比較に関する研究において進展が見られた。 本研究はカクチケル語を含むマヤ諸語と他の能格言語の(分裂)能格現象を正確に予測・説明できる形態・統語理論モデルの構築を目的としていることから、本年度におこなった比較対照研究は能格性を決定づける要素(あるいは言語パラメータ)の検証のためにも意義があったと言える。 本年度の研究を遂行するにあたり 、昨年と同様、Heffernan (2012)によって開発された関西方言コーパスの定量的研究(日本語)、現地調査(喜界語)、文献調査(日本語、喜界語、マヤ諸語および他の能格言語)等の研究手法を用いた 。 本年度は三つの国際学会で発表をおこなった。シカゴ大学とユタ大学(共に米国)で開かれた学会では、イシル語の分裂能格性に関する発表をおこない、国立中正大学(台湾)の学会では日本語とニウエ語の比較研究に関する発表をおこなった。また、招待講演(神戸大学)では、マヤ諸語の分裂能格性と名詞化に関する研究発表をおこなった。本年度は、イシル語に関する学術論文を二編(うち一編は印刷中)、擬似名詞抱合と日本語に関する論文を一編出版した。また、マヤ諸語の進行相における分裂能格性に関する学術論文が国際学術雑誌に採択(with minor revisions)された。統語操作の一致に関する書評論文(慫慂)も一編採択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マヤ諸語の分裂能格性の研究を中心に、能格型言語とそれ以外の格配列型を持つ言語の比較統語的研究をおこなう予定をしていたので、本年度の研究は概ね計画通りに進んでいると思われる。当初予定していたグアテマラでの現地調査は平成29年度におこなう予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き、マヤ諸語および他の能格言語、日本語、喜界語の比較研究を推し進めることで、複雑な格配列システムを構成する(分裂)能格性を説明できる理論の構築を目指す。今後の研究を進めるにあたり、喜界島とグアテマラでの現地調査を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初支出を予定していた人件費とその他経費を使用しなかったために次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
今回生じた次年度使用額は、次年度の現地調査費用等に充てる予定である。
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