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2017 年度 実績報告書

サルデーニャ語における語順と情報構造の通時的研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K16755
研究機関滋賀短期大学

研究代表者

金澤 雄介  滋賀短期大学, その他部局等, 准教授 (70713288)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードサルデーニャ語 / ロマンス語学 / 歴史言語学 / 文献学 / クリティック / 情報構造 / スペイン語 / ルーマニア語
研究実績の概要

本年度の主な研究成果は、サルデーニャ語におけるクリティックの重複について、語順の通時的変化と相関が見られることを指摘したことである。中世ロマンス諸語の語順は動詞第 2 位置 (V2) が基本であったが、VSO 及び VOS も無標な語順として観察される。現代ロマンス諸語では SVO になったが、現代スペイン語と現代ルーマニア語では、VSO も情報構造において中立的な語順として許容される。この 2 つの言語では、古語と現代語いずれにおいてもクリティックの重複が観察される。言い換えれば、中世以降のロマンス諸語の歴史において、クリティックの重複が観察される言語では、情報構造における中立的な語順として VSO (VOS) が許容され、フランス語、イタリア語のようにクリティックの重複が許容されない言語では VSO も許容されないという相関が見られる。サルデーニャ語もこの相関にしたがい、現代語ではクリティックの重複が失われたと同時に、中立的な語順としての VSO は許容されない。
以上の考察から、クリティックの重複は、語順の制約が比較的緩い言語において、その名詞(句)が主語ではなく目的語であることを明示する一致の標識として機能しているといえる。この見方は、クリティックの重複は、トピック性や定性、有生性などによって特徴づけられる、主語に近い性質を持つ目的語に生じるという事実からも支持される。
研究期間全体を通して、サルデーニャ語のクリティックの重複と前置詞付き直接目的語が、目的語の意味特徴、語順、そして情報構造とどのような相関があるかを考察してきた。ただし、この2つの文法現象にどのような相関があるのかを明らかにするまでには至らなかった。生成文法の視点や類型論の視点も織り交ぜつつ、この問題をロマンス諸語全体の枠組みから解明することが今後の課題である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] A Typological Analysis of Differential Object Marking in Old Sardinian2018

    • 著者名/発表者名
      Yusuke KANAZAWA
    • 雑誌名

      Aplicaciones de la linguistica de corpus al estudio de lenguas modernas

      巻: 印刷中 ページ: ー

    • 査読あり
  • [学会発表] サルデーニャ語におけるクリティックの重複の消失 ―語順の変化と関連づけて―2018

    • 著者名/発表者名
      金澤 雄介
    • 学会等名
      日本ロマンス語学会第 56 回大会

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公開日: 2018-12-17  

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