本研究では、古サルデーニャ語におけるクリティックの重複と前置詞付き直接目的語が、目的語の意味的特徴、語順、情報構造とどのような相関があるかを考察した。クリティックの重複については、一致の標識として完全に文法化しているのではなく、談話的な機能を保持していると結論付けた。またサルデーニャ語の歴史におけるクリティックの重複の消失は語順の通時的変化と相関が見られることを指摘した。前置詞付き直接目的語については、以下の2点を明らかにした:(1)人間を表す名詞では、それがトピックであるか否かに関わらず、前置詞は義務的に現れる。(2)目的語がトピック要素であれば、意味的特徴に関わりなく、前置詞をともなう。
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