本研究は,1) 定性の観点から見たル形の研究,2) 語性を中心にした語形成の研究,の2つに分けられる。1については,選言等位節を対象に述語の形態は同じル形であってもその節は様々な大きさの統語構造を持っていることを詳細かつ具体的に示した。2については,これまで研究の少なかった外来語動名詞と比較することによって,漢語動名詞の振る舞いの差異が形態的複雑性とは直接関係しないこと,外来語動名詞と漢語動名詞の自他の分布が異なることを明らかにした。さらに理論的な貢献としては,接頭辞「小/大」の副詞修飾的解釈の分析を通して分散形態論で仮定されるRootの実在性とその性質を明らかにした。
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