研究課題/領域番号 |
15K16762
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
久能 三枝子 (高田三枝子) 愛知学院大学, 文学部, 准教授 (90468398)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 既存資料 / 音声データベース / 調査準備 / 資料整理 |
研究実績の概要 |
(1)手元資料の整備 代表者が2006~2007年にかけて収録した「指標地域録音資料」は東北、関東、近畿、九州の各地域について(それぞれ60~120名の音声資料を含む)、音声資料をリスト化し、また音響分析ソフトPraatのannotation機能を利用して、単語単位への分割、およびタグ付けの作業を行った。この作業のうち、単語単位への分割については順調に進み、既に全ファイルの分割を終えたが、後者のタグ付けについては、1つのファイルに想像以上の時間がかかること、またこの作業に従事する人員の確保に困難があり、現時点でほとんど進んでいない。H28年度の課題として継続して取り組む予定である。 (2)利用可能音声データベースの確認、整理 平成23~25年度の科研費助成事業「日本列島諸方言音声の地域差と世代差に関する研究」(基盤B、代表:岸江信介、以下「岸江科研」)で収集された音声資料の一部に、外来語発音を扱ったものがあり、有声促音の語を2語(ベッド、ハンドバッグ)含むことが分かった。ただし同時にこの有声促音は必ずしも話者の発音において「有声」として発音されているとは限らない(無声促音として発音されていることも多々ある)ことも分かった。現在代表者の岸江氏に相談しながら、有声促音の音声資料としてどこまで利用可能であるかを検討中である。 (3)調査準備 資料を整理し調査に必要な話者数を整理した。その結果、各世代6人の話者を確保するとした場合各地域10~16人程度(10人とした場合はそれ以上)の調査が必要と考えられた。その結果に基づき、熊本市で話者を探していたが、先日の熊本県での大地震発生により、熊本県での調査は一時中断せざるを得ない状況と考えている。その他の地域について今後調査の依頼を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度に計画していたなかで、音声資料の整備、とくにPraatを用いてのアノテーションにおいて、基本的なセグメンテーションまでは終えることができた。しかし分析のためのタグ付けについては、少々遅れ気味である。これは雇うことのできるアルバイターとの兼ね合いで、作業内容の難しさなどもあり、予想以上に時間と予算が必要であったためである。またこのことから既存資料の分析に取り掛かることができていない。 また調査の準備について、特に熊本を中心に少しずつ協力のお願いをしているものの、具体的な調査予定に至っていない。また熊本は4月に起きた震災により、調査については一度白紙に戻ったと考えるべきである。
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今後の研究の推進方策 |
今後は手元の資料整備をさらに進め、具体的な分析のためのタグ付けも進めたい。昨年度雇用したアルバイターは自身の就職活動等で続けることが不可能なため、新たにアルバイターを雇用し教育する必要がある。これは来年度も起きることが予想される事態であるため対策を考えたい(短期間で作業を進めるために人数を増やすなど)。 調査については、熊本以外の地域から再度調査の準備を進め、28年度中に2か所以上の調査を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
アルバイターにかかる費用が予想より大きくなることがことが分かり、他の支出を抑えるよう意識したことと、一方でアルバイターの都合により途中でやめざるを得ないなど、最終的には予算を使いきることができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度には再度アルバイターを雇う。またその際、人数を増やして短期に行うことを考えている。また物品も購入し、学会へ参加する予定もあることから、これらの予算も、従来の計画通り消費されるものと予想される。
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