本研究では,香川県で話される方言(以下,「讃岐方言」と呼ぶ)の発話行為(発話によって為される行為)の体系を明らかにすることを最終目的とした上で,ナ行音終助詞「な」,「の」,「ね」と発話行為の対応を調べた。これまでに,讃岐方言の終助詞「な」,「の」は,地域と話者の性別により発話中の出現に違いがあることが指摘されているが,体系的な考察や生起環境の詳細な観察は行われてこなかった。本研究では,主に2地点(綾川町と高松市三谷町)の男女の母方言話者のデータを比較し,発話中に現れるナ行音終助詞の統語環境,待遇性の違い,音調等のパラ言語情報を調べ,発話行為の体系の中での位置づけを行った。
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