今後の研究の推進方策 |
平成28年度以降では、平成27年度で行った基礎研究を土台とし、理論的研究を行う。主な研究項目は、(i)従来のラベル決定の仕組みの批判的検討とラベル決定の仕組みの精緻化、(ii)仮説の構築と検証、(iii)構成素のラベル決定の仕組みとフェーズ理論との関連の調査、以上の三点である。 (i)について、Donati (2006)、Chomsky (2008, 2013)のラベル決定の仕組みに対し、経験的問題を提示し、移動要素がラベルになる仕組みをより精緻化する。 (ii)について、移動要素の句範疇がフェーズで且つ、指定部に要素を持たない場合、それは移動先でラベルになれるという仮説をたてる。この仮説から縮約関係節構文と比較構文の統語特性を予測し、この予測を検証する。また、この仮説がDonati (2006)、Chomsky (2008, 2013)の経験的問題を解決することを示すことで、当該仮説の優位性を示す。 (iii)について、一般的に、句範疇は移動先でラベルになれないとされている。本研究では、ラベル決定にはフェーズ不可侵条件が関わるという仮定のもと、移動要素の句範疇が移動先でラベルになれる可能性を追求する。 これらの研究成果を学会または論文などで発表し、研究者から示唆をいただきながら理論的研究を進める。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度の直接経費は500,000円である。このうち、設備備品費に150,000円、消耗品費に35,000円、旅費に300,000円、その他に15,000円を使用する。概ねの内訳は以下の通りである。 (1)設備備品費150,000円(図書15冊)、(2)消耗品費(プリンタートナー30,000円、USBフラッシュメモリー5,000円)、(3)旅費300,000円(研究調査100,000円、研究打ち合わせ100,000円、成果発表旅費100,000円)、(4)その他15,000円(複写費8,000円、通信費7,000円) また、27年度の繰越金の111,385円はデータ保存のためのコンピューターの購入に使用する。
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