研究課題
本研究では、生成文法(ミニマリスト・プログラム)の枠組みで、縮約関係節と比較節の研究を行うことで、構成素のラベル決定の仕組みの解明を試みた。ラベル決定の仕組みの解明に向けて、縮約関係節と比較節に関わる三つの研究課題に取り組んだ。具体的には(1)縮約関係節と比較節が持つ統語的共通特性は何か、(2)両者はどのような統語派生を経て得られるのか、(3)両者の統語派生が句構造のラベル付けの理論にどのような帰結をもたらすのかの三点の課題に従事した。まず、課題(1)について、縮約関係節と比較節の範疇は移動要素の範疇と同じであることを明らかにした。この考察に基づき、課題(2)において、縮約関係節と比較節は移動要素が移動先でラベルになることで派生することを明らかにした。最後に課題(3)について、移動要素が句範疇であっても、それがフェーズで且つ、指定部を含まない場合、それは移動先でラベルになれることを明らかにすることで、ラベル付け理論の精緻化を行った。本研究の分析は縮約関係節と比較節の従来の分析(縮約関係節の分析はBhatt (1999)、Burzio (1986)、Kayne (1994)、比較節の分析はBresnan (1973)、Kennedy (1999)、Lechner (2004))が持つ経験的問題を解決することを示した。平成29年度前半は決定詞の主要部移動に焦点をあて、ラベル付け理論のさらなる精緻化に努めた。平成29年度後半は三ヵ年の研究の総括の一環としてOn the Derivation of That-Relative Clauses and Reduced Relative Clausesを論文発表した。
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Studies in English Literature
巻: English Number 59 ページ: 117-125
English Linguistics
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Studies in English Linguistics and Literature
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