研究実績の概要 |
本研究は、英語と日本語の句構造を観察し、これまでさまざまな条件を措定することによって説明されて来た言語現象に対して、Chomsky (2013, 2015)の「ラベル付けアルゴリズム」の観点から統一的な説明を与えることを目的としている。特に、「ラベル付けはどのように行われるのか?」というメカニズムの問題と「ラベル付けはそもそもなぜ必要なのか?」という理論的根拠の問題を実証的に検証することによって目的の達成を目指している。 平成27年度は、この2つの問に対してそれぞれ、ミニマリスト・プログラムのから「XP-YP構造はSpell-Outの適用によりラベル付けられるようになる」という提案と「ラベルはMergeのinputとなるnの値を決定する際に関与するsearchの領域を最小化する為に必要である」という提案を行い、そこから得られた研究成果はそれぞれ[1]と[2]の業績として纏めることができた。
[1] Kensuke, Takita, Nobu Goto, and Yoshiyuki Shibata (2016) "Labeling through Spell-Out." The Linguistic Review, 177-198.
[2] Goto, Nobu (to appear) "Labelability = Extractability: Its Theoretical Implications for the Free-Merge Hypothesis." In Proceedings of the 46th Annual Meeting of the North East Linguistic Society.
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