研究課題/領域番号 |
15K16785
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研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
田川 麻央 明海大学, 総合教育センター, 講師 (50735363)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 読解 / 文章理解 / 日本語教育 / 読解ストラテジー / 文章構造 / 日本語学習者 / 国際研究者交流 / 中国 |
研究実績の概要 |
第二言語としての日本語習熟度が発展途上であっても、留学生は日本語で文献や資料を読み、文章全体の内容を把握することが求められている。母語と比べて日本語での読解は、単語の認知や1文レベルの文法解析に費やす認知的負担が大きい。そのため、文章の要点と詳細情報を区別し、要点と要点、要点と詳細情報を関係づけるといった2文以上の文章処理に制約が大きい。本研究課題では、文章処理を促進させるための具体的な読解技術として、文章の要点間の関係を示した図を作成する要点関係図の作成活動を取り入れ、どのような学習者がどのような文章を読むときに文章の理解が促進されるかを明らかにすることを目的としている。要点関係図作成が有効に働く条件を解明するために、学習者の認知的特性と読む文章のタイプに着目した。研究期間の初年度は、本調査で扱う文章を選定すること、日本語学習者の要点関係図作成に対する認知的特性を探るための予備調査を行う計画であった。今年度は、以下の2点を実施した。1点目については文章構造の明確さに着目し、文章を選定した。さらに、その文章を用いて要点関係図作成活動を行う調査を試験的に行い、データを収集した。データを分析した結果、文章構造の明確さの違いによって要点関係図作成活動が理解に及ぼす影響は異なることが明らかになった。2点目は要点関係図作成活動のプロトコルデータの収集、質問紙調査を行い、認知的特性の観点から分析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究期間の初年度は、本調査で用いる文章を選定して試験的にデータを収集すること、また日本語学習者の要点関係図作成に対する認知的特性を探るためのプロトコルデータの収集、質問紙調査を行うことを目的とした。1つ目については、構造の異なる文章の理解に要点関係図作成活動が影響を及ぼすことが明らかになった。その結果をまとめて国際シンポジウムで口頭発表を行った。2つ目のプロトコルデータはデータの書き起こしと翻訳が終わり、分析を行った。質問紙調査も分析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
1年目に実施した予備調査、選定した文章に基づいて調査を進める。調査の目的は、日本語学習者の認知的特性、及び文章のタイプによって要点関係図作成が理解に及ぼす効果が異なるかどうかを検討することである。要因、理解の質についても多面的に検討するためにインタビューと質問紙調査も併用し、より多くの示唆が得られるように工夫する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
人件費が当初の予定よりも少なかったため、残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度以降も先行研究の資料収集を継続するため、使用する予定である。
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