これまでの専門語研究においては,専門語が一般的に名詞句相等であるという事情から,修飾語句はあまり着目されてこなかった。しかし,本研究を通して分析対象テキストを適切に選ぶことで,それらの修飾語句を効果的に抽出できることが確認された。また,一般語が専門的な意味を担っているもの(本研究では“文脈依存する専門語”と呼ぶ)も多くそのような形で確認された。加えて,テキストのジャンルとして専門分野の異なりが文体に影響していることを,品詞構成比率の異なりから間接的に示した。 これらの調査を踏まえ,母語話者・非母語話者の別を超えて,“教授言語としての日本語”という枠組みを考える必要性を提起した。
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