研究課題/領域番号 |
15K16789
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
飯田 敦史 群馬大学, 大学教育・学生支援機構, 講師 (50622122)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 第二言語ライティング / 俳句 / クリエイティブ・ライティング / 自己表現力 |
研究実績の概要 |
本研究は、日本人英語学習者が英語で俳句を作成することにより、どのように自己表現力を養うことができるかを実証的に検証し、日本人に適したライティング授業を構築することを目的としている。本研究は、3つの段階から構成されており、初年度である平成27年度は、その第一段階であるデータ(英語俳句)の収集とデータの転写作業を実施した。平成23年度から27年度までに収集した約4500個の俳句の転写作業は完了したが、本格的なデータの分析(言語学的特徴・感情表現のパターン)は次年度以降に行われる。
初年度は、データ収集・集計を行う一方で、これらのデータの一部を使用してパイロット研究を実施した。大学1年生164名を対象に実施したこのパイロット研究により、日本人英語学習者によって作成された俳句は、(1)平均13単語で構成されている、(2)容易な英単語が使用されている、(3)感情を表す英単語(例えば、like, hot, cold, heart)が直接的に使われている、等の言語学的特徴が明らかになった。非常に限られたデータではあるがこれらの分析結果から、日本人英語学習者によって作成された英語俳句は、「短く、直接的かつ主観的なテクスト」であると言うことができる。また、この結果より、外国語としての英語(EFL)を学ぶ日本人大学生が、俳句を作成するのに十分な英語(ライティング)力を身につけていることも明確となり、本研究の遂行可能性が非常に高くなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究1年目の平成27年度は、過去5年間に被験者から収集した約4000個の俳句の転写作業を完了することができた。また、この一部のデータを使用してパイロット研究を実施した。このパイロット研究を通じて、これらの膨大なデータを統計解析ソフトできちんと分析できることを確認し、パイロット研究の分析結果を国内の学会 (The 7th Liberlit Conference) で発表することができた。その一方で、研究参加辞退者が出たこともあり、当初予定していた目標数のデータを集めることができなかった。そこで、データ収集期間を1年間延長する必要があるという点で、「おおむね順調に進展している」と総合的に評価した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、既存の仮説や理論を検証し統計分析に基づき一般化の可能性を探る量的研究である。そのために、様々な分野に属する被験者から多くのデータを集めることが重要である。現時点で当初の目標データ数に到達していないため、予定を変更し、データ収集期間を1年間延長することにした。そこで、本研究2年目にあたる平成28年度は、教室内でのデータ収集、授業外でのデータの転写作業を行い、平成29年度からすべてのデータを使用して統計分析が開始できるように準備を進めていく。
また、平成28年度は国際学会でデータの一部を使用し、本研究の概要を発表をする予定である。国際学会に出席・発表することで、専門家から本研究のフィードバックや助言を得ながら、新たな研究手法及び英語教授法の可能性を探っていく。
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