研究実績の概要 |
本研究は、日本人英語学習者が英語で俳句を作成することにより、どのように自己表現力を養うことができるかを実証的に検証し、日本人に適した英語ライティング授業を構築することを目的としている。本研究2年目の平成28年度は、データの追加収集を行う一方で、過去6年間(平成23年度ー28年度)に収集したすべての俳句の転写作業が完了した。結果として、日本人大学生638名によって作成された6328個の俳句を集めることができた。次年度以降、このデータを用いてコーパスを作成し、本格的な統計(言語学的特徴・感情表現のパターン)分析を実施する。
また、今年度は転写作業が完了している一部のデータを用いて、研究初年度とは違う視点から、新たなパイロット研究を試みた。今回は、大学1年生95名を学部別(教育学部、医学部保健学科、理工学部)に分け、研究参加者が作成した俳句の中で言語学的特徴に違いが見られるかを分析した。この3グループにおいては、全体的に見てほぼ同じような傾向が見られたが、理工学部生が作成した俳句は、教育学部・保健学科の学生が作成したものに比べると、人称代名詞の使用頻度が少なかった。特に1人称(I, my, me, mine)を用いる傾向が少なかった。また、このパイロット研究では、日本人大学生が俳句で自分の気持ちを表現する際に、体の部位を表す単語(face, eyes, hand, heart)を使用したり、色を表す単語(white, read, blue)を用いたりすることが明らかになった。
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